貧血を指摘されたら胃カメラ・大腸カメラは必要?消化器疾患との関係について
健康診断や血液検査で「貧血があります」と指摘されたことはありませんか?
貧血というと、鉄分不足や女性の月経が原因というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、貧血の原因として、胃や大腸などの消化器疾患が隠れている場合もあります。
特に、胃や腸から少量の出血が長期間続いている場合には、目立った症状がなくても貧血が進行することがあります。
今回は、貧血と消化器疾患の関係や、胃カメラ・大腸カメラが必要になるケースについて解説します。
そもそも貧血とは?
貧血とは、血液中のヘモグロビンという物質が減少した状態です。
ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、不足するとさまざまな症状が現れます。
代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 疲れやすい、身体がだるい
- めまい、立ちくらみ
- 動悸、息切れ
- 頭痛
- 顔色が悪い
ただし、貧血がゆっくり進行した場合には、自覚症状がほとんどないこともあります。
そのため、症状がない場合でも、健康診断などで貧血を指摘された際には原因を確認することが大切です。
胃や大腸の病気で貧血になるのはなぜ?
貧血にはさまざまな種類がありますが、代表的なものの一つが「鉄欠乏性貧血」です。
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することによって起こります。
その原因の一つが、胃や大腸などの消化管からの慢性的な出血です。
消化管から少量の出血が長期間続くと、体内の鉄分が徐々に失われ、貧血を引き起こすことがあります。
注意したいのは、消化管から出血していても、必ずしも血便や黒い便が出るとは限らないということです。
目に見える出血がなくても、消化管の病気が隠れている場合があります。
貧血の原因となる消化器疾患
① 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜に傷ができる病気です。
潰瘍から出血すると、貧血の原因となることがあります。
出血量が多い場合には黒い便が出ることもありますが、少量の出血が続く場合には、目立った症状がないこともあります。
② 胃がん
胃がんも、貧血の原因となる病気の一つです。
胃がんの病変から少量の出血が続くことで、鉄欠乏性貧血を引き起こす場合があります。
早期の胃がんでは自覚症状が乏しいこともあるため、貧血をきっかけに検査を行い、病気が見つかるケースもあります。
③ 大腸がん
大腸がんでは、病変からの慢性的な出血によって貧血が生じることがあります。
特に右側の大腸に発生したがんでは、目に見える血便などの症状が現れにくく、貧血が発見のきっかけになる場合があります。
血便がないからといって、大腸がんの可能性を否定することはできません。
④ その他の消化器疾患
そのほかにも、炎症性腸疾患や消化管の血管性病変などが貧血の原因になることがあります。
また、消化管からの出血だけでなく、胃や小腸での鉄分吸収が低下することによって、鉄欠乏性貧血が生じる場合もあります。
貧血を指摘されたら胃カメラ・大腸カメラは必要?
貧血を指摘されたからといって、すべての方に胃カメラや大腸カメラが必要になるわけではありません。
まずは血液検査で貧血の程度や種類を確認し、必要に応じてフェリチンなどを測定して、鉄欠乏の有無を調べます。
そのうえで、年齢や性別、症状、既往歴などを考慮し、内視鏡検査の必要性を判断します。
特に、以下のような場合には消化器疾患の可能性を考える必要があります。
- 原因がはっきりしない鉄欠乏性貧血がある
- 鉄剤で改善しても、貧血を繰り返している
- 血便や黒い便が出る
- 腹痛や便通異常、体重減少などの症状がある
- 男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が認められる
男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が認められる場合には、消化管からの出血が原因となっている可能性を考え、胃カメラや大腸カメラによる精査が推奨されることがあります。
なお、便潜血検査が陰性であっても、消化管からの出血を完全に否定することはできません。
女性の貧血では婦人科疾患が原因になることも
女性の貧血では、月経による出血が原因となっている場合も少なくありません。
特に、月経量が多い方では、子宮筋腫や子宮腺筋症などの婦人科疾患が隠れている可能性があります。
一方で、月経のある女性でも消化器疾患が原因となっている場合があるため、月経だけが原因と決めつけることはできません。
貧血の原因を調べる際には、月経の状況や消化器症状などを総合的に確認することが大切です。
当院では、消化器内科に加えて婦人科の診療も行っております。
必要に応じてそれぞれの診療科で検査を行い、貧血の原因について調べることができます。
鉄剤で貧血が改善すれば安心?
鉄欠乏性貧血では、鉄剤による治療が行われることがあります。
鉄剤を服用することでヘモグロビン値が改善しても、出血などの原因が解決していなければ、再び貧血になる可能性があります。
また、鉄剤によって貧血が改善したからといって、胃や大腸の病気がないと判断できるわけではありません。
貧血の治療では、鉄分を補うことだけでなく、原因を明らかにすることが重要です。
貧血を指摘された方はご相談ください
貧血の原因はさまざまですが、胃や大腸などの消化器疾患が隠れている場合もあります。
特に、原因がはっきりしない貧血や、繰り返す鉄欠乏性貧血がある場合には、消化管の病気が関係していないか確認することが大切です。
また、婦人科も併設しているため、月経異常など婦人科疾患が疑われる場合にも対応しております。
健康診断で貧血を指摘された方や、貧血の原因がわからずお困りの方は、お気軽にご相談ください。
※息切れが強い、胸痛がある、失神した、大量の下血や吐血がある場合などは、緊急の対応が必要なことがあります。速やかに医療機関を受診してください。