ピロリ菌
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌で、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因となることが知られています。また、ピロリ菌の感染は胃がんのリスクを高めることも明らかになっています。多くの場合、ピロリ菌は幼少期に感染し、自覚症状がないまま長期間にわたって胃に存在します。
ピロリ菌感染は、検査と治療により除菌が可能です。除菌することで、胃がんや潰瘍のリスクを大幅に減らすことができます。
主な症状
ピロリ菌に感染していても、初期段階では自覚症状がないことがほとんどです。しかし、感染が長期化することで以下の症状が現れる場合があります。
- 胃のむかつき
- 胃痛や胃もたれ
- 食欲不振
- 吐き気や嘔吐
- 胸やけ
- 下痢や便秘
ピロリ菌は、慢性的な胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こし、進行すると胃がんのリスクを高めることがあります
診断と検査について
ピロリ菌の有無を確認するためには、以下の検査を行います。
- 尿素呼気試験
息を採取してピロリ菌が出す酵素の働きを調べる検査です。簡便で精度の高い検査方法です。 - 抗体検査(血液検査)
血液中にピロリ菌に対する抗体があるかを調べます。過去の感染状況も確認できます。 - 便中抗原検査
便を採取して、ピロリ菌の抗原が存在するかを確認します。 - 胃カメラ(上部内視鏡検査)
胃カメラで胃の粘膜を直接観察し、生検(組織採取)を行いピロリ菌感染を確認します。胃潰瘍や胃炎の有無も同時に診断可能です。
これらの検査によりピロリ菌が陽性と診断された場合、除菌治療を行います。
治療法について
ピロリ菌の治療は、除菌治療と呼ばれる方法で行います。除菌治療により、ピロリ菌を完全に排除し、胃の炎症や潰瘍の治癒を目指します。
除菌治療の流れ
- step01薬の服用
- 2種類の抗生物質と、胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を1日2回、7日間服用します。
- step02効果の確認
- 治療後、1~2か月後に尿素呼気試験などでピロリ菌が除菌されたかを確認します。
治療の成功率
除菌治療の成功率は約90%とされています。万が一、初回の治療で除菌ができなかった場合には、別の抗生物質を使用した再治療を行います。
予防方法
ピロリ菌の感染を予防するためには、以下の点を心がけましょう。
- 衛生的な食事環境
幼少期に感染することが多いため、食器や箸、スプーンの共有を避け、清潔な食事環境を保ちます。 - 飲料水の管理
感染のリスクがある地域では、安全な飲料水を使用することが重要です。
よくある質問
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ピロリ菌に感染していると必ず胃がんになりますか。
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ピロリ菌感染者が必ず胃がんになるわけではありませんが、感染していると胃がんのリスクが高くなることが知られています。除菌治療を行うことでリスクを大幅に減らすことができます。
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ピロリ菌はどうやって感染しますか。
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ピロリ菌は主に幼少期に感染すると考えられています。感染経路は、親から子への口移しでの食事や、感染者との食器や水の共有などが挙げられます。
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除菌治療を受けるとどのくらい効果がありますか。
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除菌治療は約90%の成功率があり、多くの方でピロリ菌の完全除菌が可能です。除菌に成功すると、胃炎や胃潰瘍の改善が期待でき、胃がんリスクを低減できます。
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ピロリ菌の除菌治療には副作用がありますか。
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抗生物質の服用によって、一部の方に下痢や腹痛、吐き気などの副作用が現れることがあります。副作用が強い場合は医師にご相談ください。
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除菌治療後、再びピロリ菌に感染することはありますか。
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除菌治療に成功した場合、再感染するリスクは非常に低いとされています。ただし、感染予防のために衛生管理を徹底することが大切です。
ピロリ菌は、胃の健康に大きな影響を与える細菌です。感染していても自覚症状がないことが多いため、早期に検査を受けることが重要です。ピロリ菌の除菌治療は、胃炎や潰瘍の改善だけでなく、胃がんの予防にもつながります。当院では、ピロリ菌の検査から治療まで一貫して対応していますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。