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機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia)

機能性ディスペプシア(FD)は、胃の痛みや不快感、胃もたれ、満腹感などの症状がありながら、胃カメラや血液検査などの検査では明らかな異常が見つからない状態を指します。この病気は、ストレスや生活習慣、胃の働きの乱れなどが原因とされ、胃や消化器の機能が正常に働かないことで症状が引き起こされます。

慢性的な胃の不調に悩まされる方の多くが機能性ディスペプシアと診断されています。放置すると症状が悪化する場合もあるため、早期の診断と適切な治療が大切です。

主な症状

機能性ディスペプシアでは、次のような症状が見られます。

  • 胃の痛みや不快感(みぞおち付近の違和感)
  • 食後の胃もたれ感
  • 少量の食事で満腹になりやすい(早期満腹感)
  • 胃の膨満感や張り
  • 吐き気やげっぷが多い
  • 胸やけや食欲不振

これらの症状が慢性的に続き、日常生活に支障をきたす場合には機能性ディスペプシアの可能性があります。

診断と検査について

機能性ディスペプシアを診断するためには、他の消化器疾患との鑑別が必要です。以下の検査を行い、胃や消化器に明らかな異常がないことを確認します。

  1. 問診
    症状の内容、発生時期、持続期間、食事や生活習慣との関連について詳しくお伺いします。
  2. 胃カメラ(上部内視鏡検査)
    胃や食道、十二指腸に潰瘍や炎症、腫瘍などの異常がないかを確認します。機能性ディスペプシアの診断には、内視鏡検査で明らかな器質的異常が見られないことが条件です。
  3. ピロリ菌検査
    ピロリ菌感染が疑われる場合には、尿素呼気試験や血液検査などを行います。ピロリ菌が陽性の場合、除菌治療を検討します。
  4. 血液検査
    炎症や感染の有無、貧血や栄養状態を確認します。
  5. 超音波検査(腹部エコー)
    胆石症や膵臓の病気など、他の疾患がないかを確認します。

これらの検査で異常が見つからない場合、症状と問診の内容に基づいて機能性ディスペプシアと診断されます。

治療法について

機能性ディスペプシアの治療は、症状を軽減し日常生活を快適にすることを目指します。治療法は、症状や原因に応じて個別に選択されます。

薬物療法

胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬・H2ブロッカー)

胃酸の分泌を抑えることで、胃の痛みや胸やけを軽減します。

胃腸運動を促進する薬(消化管運動改善薬)

胃の動きを良くし、胃もたれや満腹感を改善します。

抗不安薬・抗うつ薬

ストレスや自律神経の乱れが関与している場合に用います。

生活習慣の改善

  • 規則正しい食生活を心がける
  • 消化に良い食品を中心に少量ずつ食べる
  • アルコールやカフェイン、脂っこいものを控える
  • 十分な睡眠を確保し、ストレスを軽減する

 ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌が感染している場合、除菌治療を行うことで症状が改善するケースがあります。

予防方法

機能性ディスペプシアを予防するためには、日頃の生活習慣が重要です。以下の点に気を付けることで発症リスクを下げることができます。

バランスの良い食事を心がける

消化に良い食品を選び、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。

ストレスを溜めない

適度な運動や趣味などでストレスを解消し、自律神経を整えましょう。

規則正しい生活

食事時間や就寝時間を規則的にし、胃腸に負担をかけないようにしましょう。

刺激物を控える

アルコールやカフェイン、香辛料など、胃を刺激する食品や飲料を控えましょう。

よくある質問

機能性ディスペプシアは治りますか。

機能性ディスペプシアは治療と生活習慣の改善により、多くの方が症状を改善できます。完治には時間がかかる場合もありますが、継続的な治療で日常生活の支障を減らすことが可能です。

ストレスが原因の場合、どうすればよいですか。

ストレスを軽減するために、十分な休息や運動、趣味の時間を持つことが大切です。必要に応じて抗不安薬やカウンセリングを取り入れることも検討します。

症状が軽い場合でも受診したほうがいいですか。

症状が軽い場合でも、放置すると悪化する可能性があります。特に慢性的な症状が続く場合は早めの受診をおすすめします。

ピロリ菌が原因ですか。

ピロリ菌が関与している場合もありますが、機能性ディスペプシアは必ずしもピロリ菌感染によるものではありません。感染が確認された場合には、除菌治療を行うことが症状の改善につながることがあります。

自分でできる対策はありますか。

食生活の見直しやストレス軽減、規則正しい生活習慣を心がけることが効果的です。また、消化に良い食事を摂るよう意識しましょう。

機能性ディスペプシアは、検査で異常が見つからなくても慢性的な胃の不調が続く疾患です。日常生活に支障をきたす場合も多いため、適切な診断と治療が重要です。当院では、丁寧な検査と患者様一人ひとりに合わせた治療をご提供しております。胃の不調にお悩みの方は、ぜひご相談ください。