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大腸がん

大腸がんは、大腸(結腸および直腸)に発生する悪性腫瘍です。日本では、がん全体の中で発生率が高いがんの一つで、特に高齢者に多く見られます。早期に発見し適切な治療を行うことで、治癒が期待できる疾患です。

大腸がんは、多くの場合、大腸ポリープ(腺腫性ポリープ)ががん化することで発生します。放置すると進行し、転移を引き起こすこともあるため、早期発見が非常に重要です。定期的な検査や健康的な生活習慣で予防に努めることが大切です。

主な症状

大腸がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。進行すると以下のような症状が現れることがあります。

  • 便に血が混じる、または血便が出る(鮮血または暗赤色)
  • 下痢や便秘が続く
  • 便が細くなる
  • 排便後の残便感がある
  • 腹痛や腹部の不快感
  • 体重減少
  • 貧血(顔色が悪くなる、疲れやすい)

これらの症状が見られる場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

大腸がんの原因とリスク要因

大腸がんはさまざまな要因によって発生します。以下のリスク要因が関与していると考えられています。

1. 食生活

  • 高脂肪・高カロリーの食事、赤肉や加工肉(ソーセージ、ハムなど)の摂取が多い場合、リスクが高まります。
  • 食物繊維の不足は大腸の働きを低下させ、がんのリスクを上げる要因となります。

2. 遺伝的要因

家族に大腸がんの患者がいる場合、リスクが高くなります。特に「家族性大腸腺腫症」や「リンチ症候群」といった遺伝性疾患が関与していることがあります。

3. 肥満や運動不足

肥満や運動不足は大腸がんのリスクを高めるとされています。

4. 喫煙と飲酒

喫煙は腸内環境に悪影響を及ぼし、がんの発生リスクを高めます。また、アルコール摂取も大腸がんのリスク要因とされています。

5. 炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病といった慢性炎症性疾患がある場合、大腸がんのリスクが高くなります。

6. 加齢

高齢になると細胞の修復能力が低下するため、がんが発生しやすくなります。

診断と検査について

大腸がんは以下の検査を通じて診断されます。

  1. 便潜血検査
    便に微量の血液が混じっているかを調べる検査です。簡便に実施できるため、健康診断でよく行われます。便潜血が陽性の場合は精密検査が必要です。
  2. 大腸内視鏡検査
    • 大腸全体を直接観察し、がんやポリープの有無を確認します。
    • 必要に応じて組織を採取し、病理検査を行いがんの診断を確定します。
  3. CT検査(CTコロノグラフィー)
    CTを使って大腸の3D画像を作成し、腫瘍やポリープの有無を確認します。
  4. 腫瘍マーカー検査
    血液検査で、がん細胞が産生する特定の物質(CEA、CA19-9)を測定します。進行度の評価や治療効果の判定に使用されます。
  5. MRI検査
    がんの局所進行度や周辺臓器への浸潤を確認します。特に直腸がんの診断に有用です。

これらの検査により、大腸がんの有無や進行度(ステージ)を評価し、最適な治療方針を決定します。

治療法について

大腸がんの治療は、がんの進行度(ステージ)や患者様の全身状態に応じて選択されます。

1. 内視鏡治療(早期がんの場合)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われ、がんを内視鏡で切除します。

2. 外科手術(進行がんの場合)

腫瘍のある部分の大腸と周囲のリンパ節を切除する手術が行われます。場合によっては人工肛門(ストーマ)の設置が必要になることもあります。

3. 化学療法(抗がん剤治療)

手術後の再発予防や、手術が難しい場合の治療として行われます。複数の抗がん剤を組み合わせて治療を行います。

4. 放射線療法

直腸がんの場合に、手術前後の補助療法として使用されることがあります。

5. 緩和ケア

症状を緩和し、患者様の生活の質を向上させる治療を行います。特に進行がんの場合に重要です。

予防方法

大腸がんの発生を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。

  1. バランスの良い食生活
    • 食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物など)を積極的に摂取する。
    • 赤肉や加工肉の摂取を控える。
  2. 適度な運動
    • ウォーキングやジョギングなど、適度な運動を習慣化する。
  3. 禁煙・節酒
    • タバコや過剰なアルコール摂取を控える。
  4. 定期的な検査
    • 40歳を過ぎたら、定期的に便潜血検査や大腸内視鏡検査を受ける。
  5. 便秘の予防
    • 十分な水分を摂取し、規則正しい排便習慣を心がける。

よくある質問

大腸がんは治りますか?

早期発見・早期治療を行うことで、治癒が期待できます。進行がんでも適切な治療を受けることで、症状を改善し、生活の質を維持することが可能です。

どのくらいの頻度で検査を受けるべきですか?

40歳以上の方は、少なくとも2年に1回は便潜血検査を受け、必要に応じて大腸内視鏡検査を行いましょう。

 症状がない場合でも検査は必要ですか?

はい。大腸がんは早期には症状が現れないことが多いため、症状がなくても定期的な検査が重要です。

大腸ポリープが見つかった場合、必ず切除する必要がありますか?

ポリープの種類や大きさによります。腺腫性ポリープはがん化のリスクがあるため、切除が推奨されることが多いです。

大腸がんは早期発見・早期治療を行うことで高い治癒率が期待できる疾患です。一方で、進行がんでは治療が難しくなるため、定期的な検査や生活習慣の見直しが重要です。当院では、大腸内視鏡検査をはじめとする精密な検査と、患者様一人ひとりに合った治療を提供しています。お腹の不調や血便が気になる方、また検査をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。