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萎縮性胃炎

萎縮性胃炎は、胃の内側を覆う粘膜が薄くなり、胃液を分泌する働きが弱くなる状態を指します。胃の粘膜が萎縮すると、胃の防御機能が低下し、消化機能にも影響を与えます。主な原因はピロリ菌感染や長期間の炎症によるもので、加齢とともに進行することもあります。

萎縮性胃炎そのものは症状が少ない場合が多いですが、放置すると胃がんのリスクが高まることが知られています。そのため、早期の発見と適切な治療が重要です。

主な症状

萎縮性胃炎では、初期段階では自覚症状がないことが多いですが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。

  • 胃の不快感や胃もたれ
  • 食欲不振
  • 吐き気や胸やけ
  • みぞおちの痛みや違和感
  • 体重減少
  • 貧血(鉄欠乏性貧血や悪性貧血)

特にピロリ菌感染による萎縮性胃炎の場合、胃がんのリスクが高くなるため注意が必要です。

診断と検査について

萎縮性胃炎は、以下の検査によって診断されます。

  1. 問診
    胃の粘膜の薄さや変化を直接観察します。胃炎の状態や進行度を確認し、必要に応じて粘膜の組織を採取して病理検査を行います。
  2. ピロリ菌検査
    萎縮性胃炎の主な原因の一つであるピロリ菌感染を確認するため、尿素呼気試験、血液検査、便中抗原検査などを行います。
  3. 血液検査
    貧血の有無や、胃の粘膜が萎縮している場合に低下するペプシノゲンの値を測定します(ペプシノゲン検査)。これにより萎縮性胃炎の進行度を評価します。
  4. バリウム検査
    胃の形状や粘膜の状態をX線で確認しますが、詳細な診断には胃カメラ検査が推奨されます。

治療法について

萎縮性胃炎の治療は、主に進行を抑えることを目的とし、原因に応じたアプローチを行います。

1. ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌感染が確認された場合、抗生物質と胃酸抑制薬を用いた除菌治療を行います。除菌治療を行うことで、萎縮性胃炎の進行を抑え、胃がんのリスクを低減することが期待されます。

2. 胃酸を抑える薬物療法

胃酸が粘膜を刺激するのを防ぐため、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーを使用します。これにより、胃の不快感や胸やけなどの症状を改善します。

3. 生活習慣の改善

  • 脂っこいものや香辛料、アルコールなど、胃に負担をかける食事を避ける
  • 規則正しい食事を心がける
  • 禁煙をする(タバコは胃粘膜の血流を低下させ、回復を妨げます)
  • ストレスを減らすためにリラクゼーションや運動を取り入れる

合併症について

萎縮性胃炎はそのまま放置すると、次のような合併症を引き起こす可能性があります。

  • 胃がん:萎縮性胃炎が進行すると、胃がんのリスクが高まることが知られています。特にピロリ菌感染が原因の場合は注意が必要です。
  • 胃ポリープ:胃の粘膜にポリープ(腫瘍)が発生することがあります。良性のものが多いですが、定期的な検査が必要です。
  • 貧血:鉄分やビタミンB12の吸収が悪くなることで、鉄欠乏性貧血や悪性貧血が発生することがあります。

予防方法

萎縮性胃炎を予防するためには、以下の生活習慣を心がけることが大切です。

  • ピロリ菌の感染予防と除菌
    家族にピロリ菌感染者がいる場合は検査を受け、感染している場合は早めに除菌治療を行うことが重要です。
  • バランスの良い食事
    消化に良い食品を選び、野菜や果物を積極的に摂ることで胃粘膜の回復を助けます。
  • アルコールやタバコを控える
    アルコールやタバコは胃粘膜にダメージを与えるため、控えるようにしましょう。
  • ストレスをためない
    ストレスは胃酸分泌を増加させ、胃粘膜を傷つける原因となります。適度な運動や趣味を取り入れることをおすすめします。
  • 定期的な検査
    萎縮性胃炎が進行している場合は、定期的に胃カメラ検査を受けることで早期発見・早期治療につながります。

よくある質問

萎縮性胃炎は治りますか。

一度萎縮した胃粘膜が完全に元に戻ることは難しいですが、ピロリ菌除菌や生活習慣の改善により進行を止めたり、症状を軽減したりすることが可能です。

ピロリ菌がいない場合でも萎縮性胃炎になりますか。

はい。加齢や長期間の炎症、アルコールやタバコの摂取などが原因でピロリ菌感染がなくても萎縮性胃炎が進行することがあります。

胃がんになるリスクが高いですか。

萎縮性胃炎は胃がんのリスクを高める要因の一つです。特にピロリ菌感染がある場合は、リスクがさらに高まるため、除菌治療や定期的な検査が必要です。

症状がない場合でも治療が必要ですか。

はい。自覚症状がなくても萎縮性胃炎が進行している場合があります。特にピロリ菌感染がある場合や、胃がんの家族歴がある方は治療を検討することをおすすめします。

検査は痛みがありますか。

胃カメラ検査では、鎮静剤を使用することで痛みや不快感を軽減できます。検査を受けることに不安がある方は医師にご相談ください。

萎縮性胃炎は、胃粘膜が薄くなることで胃の防御機能が低下し、放置すると胃がんのリスクが高まる疾患です。ピロリ菌感染や生活習慣が主な原因とされているため、早期の検査と治療、生活習慣の改善が重要です。当院では、胃カメラを用いた正確な診断と、患者様一人ひとりに合わせた治療を行っています。胃の不快感や心配がある方は、ぜひご相談ください。