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胃潰瘍

胃潰瘍は、胃の内側を覆う粘膜が傷つき、ただれや穴ができる疾患です。主に胃酸や消化酵素によって粘膜が刺激を受けることで発生します。胃潰瘍は慢性的なストレスや生活習慣、ピロリ菌感染、薬剤(特に非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)の使用などが主な原因とされています。

放置すると症状が悪化し、胃からの出血や穿孔(胃壁に穴が開く)などの合併症を引き起こすことがあるため、早期の診断と治療が重要です。

主な症状

胃潰瘍の症状は、患者様によって異なりますが、以下のような症状が一般的です。

  • みぞおちの痛みや灼熱感(空腹時や夜間に悪化することが多い)
  • 胃の不快感や胃もたれ
  • 食欲不振
  • 吐き気や嘔吐
  • げっぷや胸やけ
  • 体重減少
  • 黒っぽい便(タール便):胃潰瘍から出血している可能性を示します

症状が軽い場合でも、胃潰瘍が進行している可能性があるため、早めの受診が必要です。

診断と検査について

胃潰瘍の診断には、以下の検査を行います。

  1.  胃カメラ(上部内視鏡検査)
    胃の内部を直接観察し、潰瘍の有無や程度を確認します。また、がんとの鑑別を行うため、潰瘍部分の組織を採取して病理検査を行うことがあります。
  2. ピロリ菌検査
    ピロリ菌感染が胃潰瘍の原因となる場合が多いため、尿素呼気試験や血液検査、便中抗原検査でピロリ菌の有無を確認します。
  3. X線検査(バリウム検査)
    胃の状態を確認するために行われることがありますが、胃カメラ検査のほうが詳細な情報が得られます。
  4. 血液検査
    貧血や感染症の有無、全身状態を評価するために行います。

治療法について

胃潰瘍の治療は、原因に応じて薬物療法や生活習慣の改善が中心となります。合併症がある場合には、さらに専門的な治療が必要です。

薬物療法

プロトンポンプ阻害薬(PPI)

胃酸の分泌を強力に抑えることで、潰瘍の治癒を促します。

H2ブロッカー

胃酸の分泌を抑える薬で、軽症の場合に使用されます。

胃粘膜保護薬

胃の粘膜を保護し、潰瘍部分の修復を助けます。

抗生物質(ピロリ菌除菌治療)

ピロリ菌感染が確認された場合には、抗生物質と胃酸抑制薬を併用した除菌治療を行います。

生活習慣の改善

  • 脂っこい食事や刺激物(香辛料、アルコール、カフェインなど)を控える
  • 食事は規則正しく、少量ずつ摂るよう心がける
  • ストレスを溜めないようにリラックス法を取り入れる
  • 禁煙を心がける(タバコは胃粘膜の修復を妨げます)

外科的治療

潰瘍が穿孔したり、大量出血を伴う場合には、外科手術が必要になることがあります。

合併症について

胃潰瘍を放置すると、次のような重大な合併症が発生する可能性があります。

  • 出血:潰瘍部分から出血し、黒色便(タール便)や吐血がみられることがあります。
  • 穿孔:胃壁に穴が開き、腹膜炎を引き起こすことがあります。
  • 幽門狭窄:潰瘍が治癒する際の瘢痕(傷跡)によって胃の出口が狭くなり、食物が通過しにくくなる状態です。
  • 胃がん:ピロリ菌感染が長期間続くと、胃がんのリスクが高まる可能性があります。

これらの合併症を防ぐためにも、適切な治療が重要です。

予防方法

胃潰瘍を予防するためには、次のような点を心がけましょう。

  • ストレスを溜めない
    ストレスが胃酸分泌を増加させ、胃粘膜を傷つける原因となります。適度な運動や趣味の時間を持ち、リラックスを心がけましょう。
  • 規則正しい食生活
    食事の時間を規則的にし、胃に負担をかけない消化に良い食事を摂ることが大切です。
  • ピロリ菌感染の有無を確認する
    ピロリ菌検査を受け、感染している場合は早めに除菌治療を受けることをおすすめします。
  • 薬の使用に注意する
    NSAIDs(解熱鎮痛剤)やステロイド薬を長期間使用する場合は、医師に相談し、胃を保護する薬を併用することが重要です。
  • 禁煙・節酒を心がける
    タバコやアルコールは胃粘膜を傷つける原因となるため、控えるようにしましょう。

よくある質問

胃潰瘍は治りますか。

胃潰瘍は適切な治療を受けることで多くの場合、完治が可能です。ただし、原因となる生活習慣を改善しないと再発する可能性があります。

胃潰瘍は放置するとどうなりますか。

放置すると、出血や穿孔などの合併症を引き起こす可能性があります。また、胃がんのリスクも高まるため、早期の診断と治療が重要です。

胃潰瘍はピロリ菌だけが原因ですか。

ピロリ菌は主な原因の一つですが、薬剤(NSAIDs)やストレス、不規則な生活習慣も胃潰瘍を引き起こす要因となります。

食事で注意することは何ですか。

刺激の強い食べ物や飲み物(辛いもの、アルコール、カフェイン)を避け、消化に良い食品(野菜、白身魚、豆腐など)を摂取することが推奨されます。

ピロリ菌の検査は誰でも受けられますか。

症状がなくても検査を受けることができます。胃潰瘍の既往がある方や家族に胃がんの患者がいる方は、特に検査を受けることをおすすめします。

胃潰瘍は、適切な治療と生活習慣の改善により多くの場合で治癒が期待できる疾患です。しかし、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。当院では、胃カメラ検査をはじめ、患者様一人ひとりに合わせた治療法をご提案しています。胃の痛みや不快感でお困りの方は、ぜひご相談ください。